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「委託よりも直営のほうがいい」と思っている管理栄養士は多いのではないでしょうか?
しかし、実際に委託から直営に転職してみて、委託のよさに気づくパターンもあります。(私もそうでした…)
両者の違いやメリット・デメリットを見つめ直して、今一度、あなたのキャリアプランを考えてみましょう。
管理栄養士の「委託」と「直営」の違いとは?
まずは、委託と直営の違いを確認しましょう。
委託 | 直営 | |
雇用主 | 委託会社 | 勤務先の施設 |
仕事内容 | 給食管理 | (委託会社が入っている場合) 栄養管理 施設の雑務 |
転勤(異動) | 原則、あり | 原則、なし |
雇用主の違い
「委託(給食委託会社)」は、委託会社に雇用されて、配属先の事業所にて勤務します。
一方で、「直営(病院・介護施設・学校など)」は、勤務先である施設からの直接雇用です。
もちろん、給料は各雇用主から支給されます。
仕事内容の違い
「委託(給食委託会社)」は、給食管理をします。業務範囲は、施設との契約内容によりさまざまです。
一方で「直営」は、給食管理を委託会社に任せている場合と、自営で担っている場合があります。
委託会社に任せている場合は、栄養指導やミールラウンド・給食内容の調整といった栄養管理をおもに行うのが一般的です。
職場によっては、施設内の雑務も任されます。給食管理の業務範囲は委託会社との契約内容によりさまざまです。
給食管理も自営で担っている場合は、給食管理と栄養管理のどちらも行います。
私は、給食委託会社に約10年務め、7つの事業所に勤務しましたが、「献立作成・食材発注・調理・洗浄・厨房内の清掃・棚卸・調理員のシフト作成」まで委託側が担うケースが多かったです。
なかには、月に1度の職員のセレクト食の献立作成と発注のみ直営側の栄養士が行う現場もありましたよ。
転勤(異動)の有無の違い
委託では、複数の事業所を抱えているため、異動がつきものです。とくに正社員の場合は、異動命令に従って働く必要があります。
以前勤めていた給食委託会社では、勤務期間が長い事業所で2年、短い事業所で5カ月ほどのスパンで異動がありました。
一つの会社で、複数の現場を経験し、いろんなやり方を習得できたのはメリットだと思います!
一方で、直営の場合は、転勤がない場合が大半です。
しかし、グループ会社がある場合は、異動がある場合もあります。
以前勤めていた直営保育園は、6園の系列園があったので、他園へのヘルプがありましたね。
管理栄養士の「委託」と「直営」のメリット・デメリットとは?
栄養士界隈では「直営のほうがいい」との声をよく聞きます。
しかし、委託と直営は、それぞれにメリット・デメリットがあり、一概に直営がいいとはいえません。
両者の利点と欠点を整理してみましょう。
「委託」のメリット・デメリット
まずは、「委託」のメリット・デメリットを紹介します。
・職場が合わない場合に異動の選択肢がある
・複数の職場(病院・介護施設・社員食堂など)を経験できる
・委託会社の先輩や同期に相談しやすい
・常に求人がある
・緊急事態には、他の事業所からのヘルプがある
・異動のたびに、1から仕事習得や人間関係構築をする必要がある
・栄養指導や臨床栄養に関われない場合が多い
・直営よりも立場が低い(直営側はお客様)
・望まない異動も強いられる(正社員の場合)
以前勤めていた給食会社では、上記のメリット・デメリットはすべて経験しました。
とくに独身の場合は、過疎地への異動も任されます。しかし、会社の借り上げ寮を用意してくださっていたので、家賃がかからずたすかりました!
田舎特有の地元の仲間意識が強く、苦しんだ時期もありましたが、今思えばよい経験だったと感じます。
若くてエネルギッシュなうちに、苦しい思いや多くの経験ができたから、子どもに語れることも多いです。
今苦しんでいる方も、いつか自分の糧になる日が来るはずですよ✨
委託の場合は、月給に固定残業代が含まれている場合もあるようです。
「固定残業代をもらっているから、いくら残業しようとお給料は変わらない」と認識しているならば、そんなことはありません。
例えば、給与を時給換算して1500円の人が、毎月6万円の固定残業代を支給されている場合、40時間分の残業代を事前に含めている計算になります。
もしも42時間残業した場合は、42-40=2時間分の残業代は受け取る義務があるのです。(残業時間が月40時間に満たなくても支給されます)
「固定残業代が設定されている=一定時間の残業が想定されるほど仕事量が多い」ともいえますが、“何時間働いても残業代は定額”ではないので、安心してください。
ちなみに、私が勤めていた委託会社は固定残業代はありませんでした。
栄養士のインストラクターは、固定残業代が支給されているといっていましたね。
「直営」のメリット・デメリット
つぎは、「直営」のメリット・デメリットを紹介します。
・専門知識が活かせる
・原則、転勤がない(職場による)
・施設内の組織の一員として働ける
・スキルと裁量の向上が見込める
・院内研修や学会などの勉強の場がある
・職場が合わない場合、退職の選択肢が有力
・同期が少ない
・新しい専門知識を学び続ける必要がある
・スキルアップのための勉強が必要
直営の病院も勤務しましたが、専門知識を活かして、目の前の患者さんに還元できるのでやりがいを感じました!
土日祝も勉強会に参加している先輩が多かったです。
私の勤めた病院は管理栄養士が複数いたので、休んでもカバーが効きましたが、一人勤務の職場では代わりが利かないのがネックだと思います。
管理栄養士が「委託」or「直営」を選ぶ際のポイント
「直営はいいはずだ」という固定概念を持っている方も多いと思いますが、自身の置かれた状況により「委託のほうが向いている」人もいます。
実際にX(旧Twitter)では、こんなポストも…。
委託→直営に転職したけど、しんどい…
スキルアップしたいなんて思っちゃいけなかったし、
病院管理栄養士なんて私には無理だったんだなぁ。
委託から直営の病院に転職してもうすぐ1年になるけど、慣れるどころかどんどんしんどくなってくる。
病院の管理栄養士が向いてないのか、そもそも管理栄養士が向いてないのか…— もんすけ (@monsukedamon) March 7, 2022
転職活動を頑張ったあとに後悔しないように、今一度、あなたの状況に当てはめてチェックしてみましょう。
「委託」がおすすめな人
・浅く広く人間関係を構築したい人
・田舎暮らしがしたい人
・家賃補助がある職場を求めている人
・給食管理に従事したい人
・事務作業よりも厨房業務が好きな人
・ビジネスマナーを身に付けたい人
・転勤族の人(引っ越しが多い人)
・早めに就職を決めたい人
委託は、会社の規模にもよりますが、全国各地に事業所がある場合が多いので、たくさんの職場を経験できます。
パートナーが転勤族の場合は、会社を変えずに近隣の事業所に異動できるでしょう。
求人が常にあるので、就職のハードルは直営よりも低く、就職しやすいです。
田舎は人員不足が叫ばれているので、都会からの異動の際は会社が家賃補助をしてくれるケースもあります。
私も、独身時代に過疎地への異動命令がでて、会社の借り上げ寮にて、家賃無料で住んでいたことがあります。
私は新卒で給食委託会社に入社して、厨房業務を2年間経験。
そのおかげで調理員の作業量を考慮した献立作成ができるようになりました。
また、コストを意識した給食管理の基礎を一通り学べるのは委託の強みだと思います。
給食委託会社を選ぶうえで参考になる比較表を
「2024年【元委託栄養士執筆】給食会社8社の働きやすさ徹底比較!待遇や特色も紹介」
にて紹介していますので、参考にしてみてくださいね。「直営」がおすすめな人
・スキルアップが好きな人
・NSTなどのチーム医療に携わりたい人
・転勤したくない人
新しい情報を仕入れ、時代に合ったスキルアップが必要なので、向上意識を持って、自ら学び続けられる人が向いているでしょう。
転勤がない場合がほとんどなので、長年一つの事業所で勤めたい人も直営がおすすめです。
私は、30代を目前にして直営の病院(非常勤)に転職。
栄養士を志したときから栄養指導に憧れがあったため、臨床栄養に関われてやりがいを感じていました。
しかし、病院で一人前に働くには多くの勉強が必要です。休日も返上して自費で全国各地の勉強会に参加する先輩を見て、「もっと早く臨床の世界に行けばよかった」と後悔しました。
当時、保育園に通う子どもが2人いて、自分のためだけにお金や時間をかけるのは現実的ではなかったからです。
委託会社で、厨房業務やコストを意識した給食管理を学んでから、直営に転職する人も多いです。
まとめ
管理栄養士界隈では「直営のほうがいい」との声をよく聞きます。
しかし、どんなに直営の待遇がよかったとしても、職場の方針や雰囲気が合わなかった場合は、異動ができる委託のシステムに救われるでしょう。
筆者である私は、委託と直営のどちらも経験して、現在はフリーランス栄養士として在宅で働いています。
会社勤めでは、出勤や休日の調整・人間関係の煩わしさがありますが、フリーランスになって解消されました。
「委託」と「直営」の二択ではなく、「フリーランス」も選択肢の一つにしてみるのもありではないでしょうか。
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