管理栄養士が実感したメリット8選|栄養士との違い&デメリット6選も解説

キャリア

食に関する資格はたくさんありますが、国家資格である「管理栄養士」を取得するメリットは何でしょうか?食に関わる仕事といえば「栄養士」もありますが、どのような点が違うのかもマスターしておきましょう。
管理栄養士歴10年以上の私emimiが、管理栄養士のメリット8選をご紹介します。デメリット6選も併せてご覧ください個人的な感想だけでなくリサーチデータによる解説もしているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

そもそも「栄養士」と「管理栄養士」の違いとは?

栄養士と管理栄養士の違いは、おもに免許の取得方法と種類・仕事内容にあります。

栄養士 管理栄養士
受験要件 栄養士養成施設の卒業 栄養士免許の取得(3年以下の養成施設の場合、実務経験も)
免許の種類 都道府県知事免許 国家資格
給食管理 一般的 専門的な範囲まで可
栄養指導(相談) 健常者向け 病者やメタボ(予備軍)なども可

免許の取得方法の違い

栄養士の免許を取得するには、厚生労働省が指定する栄養士養成施設を卒業する必要があります。都道府県知事から受ける免許です。

一方で、管理栄養士の免許を取得するには、栄養士免許を取得した後、管理栄養士の国家試験に合格する必要があります。厚生労働大臣から受ける免許です。養成施設の修業年限により、上記の図のように必要な実務経験が定められています。

仕事内容の違い

栄養士と管理栄養士が行う基本業務は、どちらも「給食管理」と「栄養指導(相談)」です。しかし、管理栄養士になるとできる業務範囲が広がります

例えば、栄養士は健常者に対する一般的な栄養指導(相談)はできます。しかし、栄養相談の対価はいただけないのです。そのため、病者向けやメタボリックシンドロームの方・予備軍に対しては行いません。

一方で、管理栄養士はあらゆる方に栄養指導ができます。法律により、病者向けやメタボリックシンドロームの方・予備軍の方などに対する栄養指導の対価として診療報酬などの加算が制定されているのです。管理栄養士が栄養指導を行うと収入を得られるので、病院や特定保健指導を行う自治体では管理栄養士が求められます。

「管理栄養士」を取得するメリット8選

管理栄養士免許を取得する8つのメリットをご紹介します。

メリット①給料アップ

栄養士と管理栄養士では、手当の金額に差が出る場合もあります。私がリサーチした結果では、給食受託会社の給食管理の求人において、以下の金額差がありました。

実際の給食会社の求人の写真

・管理栄養士手当 30,000円
・栄養士手当   5,000円

管理栄養士は、栄養士よりも待遇面で優遇されている場合が多いようです。

emimi
emimi

私も以前、給食受託会社に勤めていました。管理栄養士を取得したら資格手当が25,000円アップして嬉しかったです。厨房業務(調理補助など)から給食管理業務(献立作成やコスト管理など)に仕事の内容もステップアップしましたよ。

メリット②職場復帰しやすい

管理栄養士は、一度職場を離れても比較的復職しやすいです。離職率の低い公務員管理栄養士は求人数が少ないので、復職の難易度は上がります。

復職しやすいのは、人手不足が叫ばれている給食受託会社です。求人をのぞいてみると、下記の写真のようにブランクOK」「子育て中のママも活躍」といった病院や幼稚園・保育園での求人もありました。

実際の「ブランクOK」「子育て応援」の求人写真

実際の「ブランクOK]「経験者・有資格者歓迎」の求人写真

emimi
emimi

私は、3度の転職を経験しています。(給食受託会社→病院→保育園→現在はライター)すべて子どもが生まれてからの転職活動でしたが、子育てに理解のある職場が多かったです。

メリット③医療機関で「栄養管理」に関わりやすい

医療機関で「栄養管理」に関わりたいなら、栄養士ではなく管理栄養士免許が必須です。医療機関は、医療行為の対価として患者様から診療報酬をいただきます。いただいた診療報酬は、人件費・医療材料の購入などに当てられるので、医療機関を健全に経営していくために重要です。

じつは、法律上の規定で「栄養士」では診療報酬をいただけません。診療報酬をいただくためには「管理栄養士」の免許が必要なのです。そのため、医療機関は管理栄養士を必要としています。

メリット④信頼感が増す

管理栄養士は、食に関する唯一の国家資格なので″食の専門家”として信頼感を抱く方が多いです。マーケティング的に、健康食品の販促や、食・健康に関する記事の権威性を付加するために「管理栄養士の監修」を入れたいといったニーズがあります。

友人からもおすすめの献立や栄養バランスについて聞かれるなど、食について頼ってもらえる機会が増えるでしょう。

メリット⑤プライベートでもスキルを活かせる

管理栄養士の仕事を通して得た健康や食の知識は、仕事だけでなく家族や周囲の友人にも活かせます。一生役立つ大きな強みといえるでしょう。

調理のスキル

給食施設に勤めていれば、給食を通してごはんの適量や栄養バランスのよい食事について習得できるでしょう。献立のレパートリーもたくさん覚えられます。

保育園に勤めている場合は離乳食や幼児食の作り方を、介護施設では介護食の作り方や考え方を習得して、家庭で活かせるでしょう。

衛生面のスキル

管理栄養士は、食中毒予防のための衛生スキルを持っています。例えば、加熱すべき食品は「中心部が75℃で1分間以上(二枚貝等ノロウイルス汚染のおそれのある食品の場合は85~90℃で90秒間以上)を確認したら安心」、「ブリーチで台所を拭き上げる」といった点です。

免疫力が弱い赤ちゃんや高齢者がいても、注意点理解したうえで料理を出せるでしょう。

メリット⑥婚活の可能性が広がる!?

2023年の「結婚したい女性の職業ランキング」が発表されており、栄養士・管理栄養士は6位にランクインしています。管理栄養士の女性は、家庭的なイメージがあるようです。

転職アドバイザー
婚活男性
Aさん

日頃の食生活から健康になれそう
管理栄養士なので日頃からの食事もバランスよく食べれるし、子供が生まれてからも子供にとって大切な栄養素がしっかりと取れる食事を作ってくれそう。

コウイチさん
婚活男性
Bさん

栄養や食品に詳しそう
結婚するとなるといずれ食事のバランスなどが気になってくるので栄養士だとバランスの良い食事が作れそう。

(参照:栄養士・管理栄養士に関するランキングとコメント・口コミ | みんなのランキング (ranking.net)

メリット⑦働き方の選択肢が増える

食の資格はたくさん存在しますが、国家資格である管理栄養士だからこそ任される仕事が多いです。「病院」や「介護施設」だけでなく、「薬局やドラックストア・クリニックの栄養相談」・「特定保健指導」・「商品の管理栄養士監修」・「健康関連の記事の管理栄養士監修」・「健康コラムの執筆」・「栄養セミナーの講師」など、活躍の場が一気に広がります。

emimi
emimi

私は、現在フリーランスの管理栄養士ライターとして活動しています。病院での栄養相談に加えて、健康コラムの執筆や商品監修・レシピの作成・セミナー講師といったお仕事を経験しましたよ。

メリット⑧キャリアアップがしやすい

「管理栄養士」の免許があるとできる業務範囲が増えるので、キャリアアップにつながりやすいです。

例えば、多くの場合、栄養士は厨房で「調理補助業務」までしか任せてもらえません。管理栄養士になると、「栄養管理」「栄養指導」に携われるようになります。

できる業務が増えれば、より責任をともなう責任者や栄養科の課長といったポジションに就きやすくなるでしょう。管理栄養士を育てるマネジメント側に回る場合もあります。

管理栄養士の活躍できる場の種類やキャリア形成については、

「【管理栄養士のキャリア形成】実体験や他業種転職への事例も紹介」

の記事にまとめています。

「管理栄養士」になるデメリット6選

管理栄養士免許の取得によって、心の闇が増えてしまうようなデメリットもあります。

デメリット①責任が増す

医療機関で栄養指導(相談)をする場合、診療報酬をいただくには管理栄養士の免許を有している必要があります。栄養指導は、患者様の健康に直結するため、正しい知識が必要です。大きな責任をともなうので、常に栄養に関する知識のアップデートが求められます

リーダーや責任者のポジションになると、組織内で起きた問題の責任を取る立場になるので、精神的なストレスがかかるでしょう。

デメリット②孤独感を感じやすい

管理栄養士は、各施設に1名配置の場合が多いです。同じ立場の同僚がいないので、気軽に相談できない人もあります。立場上、調理スタッフには注意する場面も多いため、孤独を感じやすいでしょう。

デメリット③人間関係のストレスが多い

施設の規模によりますが、各施設に1人配置の場合が多い管理栄養士は、給食室や栄養科の責任者である場合が大半です。給食施設の場合は、異物混入などのクレーム対応や、同じアクシデントが再発しないように調理員に注意や再発防止策の提案をする場面が多くあります

給食施設での調理スタッフは、年配の方が多い傾向にあるため、自分よりも年上の方々に注意するのがストレスになる場合も多いです。

デメリット④ネイル・ピアス・指輪・服装が制限されることも

給食の提供に関わる現場(病院・介護施設・保育園・幼稚園など)で勤める管理栄養士は、衛生面に配慮して原則、ネイル・ピアス・指輪が禁止されています。万が一、給食に混入して異物混入になるリスクを防ぐためです。なお、結婚指輪については、OKな現場もあります。服装は、調理着やユニホーム・白衣といった制限がある現場が多いでしょう。

給食の提供に関わらない、美容クリニックや一般企業の管理栄養士は、「ネイルOK」などオシャレの制限がないケースが多いです。

実際の「ネイルOK]の管理栄養士の求人写真

デメリット⑤生牡蠣や生ものを禁止されることも

給食の提供に関わる管理栄養士は、生牡蠣を食べませんなぜなら、生牡蠣(二枚貝)はノロウイルスの感染源になるからです。ノロウイルスは、非常に感染力が強く、給食施設で感染者が出ると集団食中毒につながる恐れがあります。

会社から生牡蠣を食べないように教育されたり、会社規定で禁止されている場合もあるようです。

管理栄養士に関わらず、給食の提供に関わる調理スタッフは毎月1~2回の検便をしています。万が一、食中毒が発生してしまった際の原因の追跡や、調理従事者が食中毒菌を保菌していないかどうかを予め確認するためです。一般的な検査項目は「赤痢菌・腸管出血性大腸菌・サルモネラ属菌」です。食中毒菌は、生ものに含まれる場合が多いので、刺身や生卵も控える場合もあります。

なお、検便結果が陽性だった場合は、業務停止となり陰性が確認されてから出勤できます。

emimi
emimi

生牡蠣は控えていましたが、子どもからノロウイルス感染し、1か月間、出勤できなかったことがあります…

デメリット⑥早番・遅番など不規則なシフト

入院施設の給食管理をしている管理栄養士は、朝食の大量調理から夕食の食器の洗浄まで対応します。施設によりますが、早番は5:00始業、遅番は19:00就業といったシフトが多いでしょうか。「寝坊ができない」といった責任感から、恋愛やプライベートに制限がかかるケースもあります

まとめ

管理栄養士になるには、まず栄養士になる必要があります。栄養士は、一般的に体力的・精神的負担が多いわりに低収入だといわれるケースが多いです。管理栄養士になると、社会的な責任は増しますが、お給料アップや仕事内容の選択肢が広げられる可能性が高まります。管理栄養士免許の取得は、あなたの人生にメリットをもたらすのは間違いないでしょう。

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