※本記事は、プロモーションを含みます。
管理栄養士として働くうえで「大変だ」と感じるタイミングはたくさんあります。
時には「辞めたい」と思うこともあるでしょう。
大変さを乗り越えるための対処法を知れば、気持ちが軽くなるはずです。
また、ほかの分野で活躍する管理栄養士はどのような苦悩があるのかを知れば、転職の判断材料となるでしょう。
筆者の経験も交えながら、解説していくので参考にしてみてくださいね。
管理栄養士が感じる「大変さ」と対処法とは?(職域別)
管理栄養士は、職場により業務内容が異なり、それぞれの大変さがあります。
職域ごとのおもな「大変さ」をまとめてみました。
職域 | 共通の「大変さ」 | 独自の「大変さ」 |
給食管理 | ・人間関係が複雑 ・代わりがいないこと ・業務の多さ |
・大量調理 ・専門性が伝わりにくい ・給食委託会社と事業所との板挟み ・勤務体制がハード ・アレルギー、禁忌、偏食の対応 |
栄養指導 | ・オーダーメイドの提案を考える ・指導内容を実践してくれない |
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教育 | ・複数の学校の兼務 ・雑務が多い |
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研究 | ・根気強さが必要 ・高い教育能力と熱意が必要 |
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フリーランス | ・仕事量が安定しない ・お金の管理が大変 ・自分でスキルアップしていく必要がある ・スケジュール管理が大変 |
管理栄養士が感じる大変さ【全職域共通】
「管理栄養士って大変だな…」
と感じながら毎日お仕事していると、どんどんモチベーションが下がってきますよね。
ついついほかの分野で働く人が輝いて見えがちです。でも、働く以上どんな仕事にも「大変さ」はあります。
こちらでは、管理栄養士が働くすべての職域に共通した「大変さ」をご紹介します。
・代わりがいないこと
・業務の多さ
人間関係が複雑
管理栄養士は、厨房のスタッフ、医師や医療スタッフ、患者や利用者さん、取引先など、人との関わりが多い仕事です。
それぞれの立場を尊重したコミュニケーションが求められ、組織内での人間関係のトラブルに巻き込まれて悩む人が多くいます。
・仕事だけの関わりと割り切って、深入りしない
・礼儀正しく自分から挨拶をする
・助けてほしいときは、信頼感を伝えて頼る
・相手が困っているときに手を差し伸べる
代わりがいないこと
管理栄養士は、施設内に1人または少人数の配置が大半です。
代わりがいないので、休んだら業務が溜まります。
常に少数派なので、立場が弱く、意見が通りにくい場合も…。
困ったときに同じ立場で意見を交わせる人がいないので、不安を抱えるケースが多いです。
とくに新人の場合は、経験が浅く、解決策を見つけられずに悩む場面が多くあります。
・他部署とのコミュニケーションをはかり、良好な人間関係を築いておく
・普段からの誠実な対応で信頼されるよう努める
・栄養士の知り合いや研修への参加で人脈を作っておく
業務の多さ
管理栄養士は、食材管理や栄養指導・事務作業など多くの業務があります。
ほかの人に任せられない業務が大半なので、合間の時間を見つけて自分でこなす必要があるのです。
また、来客応対や電話対応といった雑務で、栄養士業務に注力できずに残業になるケースもあります。
・タスクを書き出し、優先順位をつけて取り組む
・「発注は〇曜日に2週間分やる」など事務作業をまとめて行う
・業務が溜まっていることを周囲に伝えて理解を得る
管理栄養士が感じる大変さ【給食管理編】
管理栄養士が「給食管理」を行うおもな職場は、以下のとおりです。
・医療施設(病院・クリニックなど)
・介護施設
・学校・幼稚園
・保育園
・大学
・社員食堂
・専門性が伝わりにくい
・給食委託会社と事業所との板挟み
・勤務体制がハード
・アレルギー・禁忌・偏食の対応
大量調理
管理栄養士であっても、調理員のサポートとして厨房に入る場合があります。
ガス炊飯器の場合は、1つの釜で炊けるごはんの量は約7kg(約90人分)です。釜の重さも加わるので、もっと重くなります。
学校給食の場合は、300㎏もの肉を切ったり、トン単位での食材を扱うため、重労働です。
大量の食材が入った回転釜を混ぜるにも強い力を要します。夏場は熱気が強いため、体力的に大変です。
<対処法>
・日ごろの体調管理
・体力づくり
・厨房業務の無い職場への転職
専門性が伝わりにくい
栄養士に対する世間のイメージは「給食の献立を作る人」が根強く、多くの人が管理栄養士も同等だと認識しています。
【管理栄養士と栄養士のおもな違い】
管理栄養士 | 栄養士 | |
免許の種類 | 国家資格 | 都道府県知事免許 |
給食管理 | ・健常者向け ・治療食 |
・健常者向け |
栄養指導 | ・健常者向け ・特定保健指導 ・患者向け |
・健常者向け |
以上の表のように、管理栄養士は、栄養士よりも専門的な知識を持ち、健常者だけでなく病気を抱える人に対する栄養管理を行えるのです。
例えば、患者さんの臨床データをみて、栄養状態改善のための献立内容の調整といった専門的な栄養ケアをしています。
しかし、他部署や一般人には重要性が伝わりにくく、「専門性が低い」と思われがちです。
私が以前勤めていた保育園では、管理栄養士が不在の時は人件費のカットのために、保育士も厨房に入って調理をするスタイルでした。また、管理栄養士が保育を任されることもあります。衛生面など給食管理の知識がない保育士、保育の専門知識がない管理栄養士…。教育を行う時間もなく、互いに不安を抱えながらの業務体制に憤りを感じているスタッフは多かったです。
大きな組織だったので、上司に相談しても体制は変わらず、退職の一因になりました。
安全な保育を行うには、「専門性」を尊重し合って責任を果たすことが大切だと思います。
・他部署や患者さんとのコミュニケーションのなかで、専門性をアピールする
給食委託会社と事業所との板挟み
給食委託会社から事業所に派遣されている場合は、両者の板挟みになるケースもあります。
事業所からは「給食を豪華にしてほしい」との要望がある一方で、給食委託会社からは「給食費や人件費のコスト管理」が要求されているからです。
どちらの要望も満たすために大変さを感じる栄養士は多くいます。
筆者の体験談
給食委託会社では「自社商品の食材の使用比率を〇%以上にすること」といったノルマが課される場合があります。
しかし、自社商品の多くが中国産の冷凍食品だったため、使うのに抵抗感がありました
給食会議で「冷凍野菜がおいしくない」との意見が出て、会社のノルマとの間で苦悩したことがあります…。
・給食委託会社と事業所の要望を整理して、実現可能な折衷案を提示する
事業所は、給食部門を委託しているので、委託会社が経営不能になってしまうような要求はできません。
(実際に、給食委託会社が破綻して、給食の提供が急にストップしてしまった事件も起きています)
・中立の立場を意識して発言する
・日ごろのコミュニケーションで信頼関係を築いておく
勤務体制がハード
365日、朝昼夕の給食を提供する施設では、お正月やお盆休みはありません。
早番の場合は朝5時前から出勤し、遅番では夜8時に退勤する場合もあります。
欠員がある場合は、連日、早番から遅番までこなすケースもあるので、体力勝負です。
・家ではしっかりと休む
・欠員の解消のために、上司に問題点を相談する
アレルギー・禁忌・偏食の対応
アレルギーや病気を持つ人にとっては、特定の食べ物が命を脅かす凶器になります。
給食現場では、禁忌の食材が多種類あるのです。(肉禁・青魚禁・卵禁・果物禁など)
献立作成時に代替え食品を考え、調理の際は調理員への指示を忘れてはなりません。
また、調理中の食材の混入や、配膳時のつけ間違えがないように細心の注意を払う必要があります。
・定期的な会議で調理スタッフや他部署のスタッフに周知と注意喚起を行う
・食札に目立つように禁忌食を記載する
・禁忌のある人のトレーの色を変える
・声だし確認を行う
・食事のトレーチェックを複数人で行う
管理栄養士が感じる大変さ【栄養指導編】
管理栄養士が「栄養指導」を行うおもな職場は、以下のとおりです。
・介護施設
・調剤薬局・ドラッグストア
・公務員(保健所・役所など)
・指導内容を実践してくれない
オーダーメイドの提案を考える
十人十色な価値観がある中で、一人一人に合わせて、実現可能な食事のアドバイスが求められます。
相手の価値観に理解を示しながら、オーダーメイドの提案をするには、たくさんの経験が必要です。
<対処法>
・いろんな料理に挑戦して提案のレパートリーを増やす
・たくさんの人と話をして、視野を広げる
・先輩や栄養士仲間のアイデアを聞く
指導内容を実践してくれない
栄養指導をしても聞く耳を持てない方や、頭では理解できても行動できない方がいます。
相手が食事を改善しないと意味がないので、行動変容のための教育が大変です。
・押しつけではなく、相手の口からできそうな行動を聞き出す
・相手の話をよく聞き、目標のハードルを下げて、成功体験を積み重ねて自信を与える
管理栄養士が感じる大変さ【教育編】
管理栄養士が「教育」を行うおもな職場は、以下のとおりです。
・保育園
・大学
・雑務が多い
複数の学校の兼務
栄養教諭や学校栄養職員の配置基準は、学校内で給食を作る場合、児童・生徒数が550人以上で1名配置、550人未満の学校は4校に1名です。
田舎の場合は、自治体に1名の場合もあります。
1人で複数の学校を兼務している場合は、業務量が多く、出勤も大変です。
・栄養士会のセミナーなどに参加して情報共有をする
・相談できる同業種の仲間を作る
・献立をサイクルメニューにするなど効率化を図る
雑務が多い
管理栄養士が職員室や事務室にいる場合が多いので、来客や電話対応で仕事が進まず、大変さを感じるようです。
保育園の場合は、調理の合間に保育業務を任される現場も少なくありません。
筆者の体験談
以前勤めていた保育園は、調理の合間に保育に入るスタイルでした。
季節によっては、子どもたちの間で感染症が流行るので、調理に関わる栄養士が保育を行うのは衛生上危険だと感じます。
・仕事が溜まっていることを周囲に伝え、理解を得る
管理栄養士が感じる大変さ【研究編】
管理栄養士が「研究」を行うおもな職場は、以下のとおりです。
・医薬品メーカー
・化粧品メーカー
・大学の研究室
・公的研究機関
・外食産業
・高い教育能力と熱意が必要
根気強さが必要
研究職では、食品の安全性を証明するエビデンスの資料作りや原材料の機能分析などを行います。
正確性と根気強さが求められるので、大変です。
高い教育能力と熱意が必要
研究部門に勤める管理栄養士は、食品学や栄養学の基礎研究や、疾病予防・食育・健康増進のための研究をする場合があります。
新たな可能性への探求心と熱意を必要とするため大変です。
管理栄養士が感じる大変さ【フリーランス編】
「フリーランス管理栄養士」のおもな仕事内容は、以下のとおりです。
・記事執筆
・特定保健指導
・料理教室
・セミナー講師
・出張料理 など
・お金の管理が大変
・自分でスキルアップしていく必要がある
仕事量が安定しない
フリーランスは、仕事を自分で獲得し続けなくてはいけません。自分の行動量や相手のタイミングで、仕事が決まるので、不安定です。
・複数のクライアントさんと仕事をする
・継続依頼されるように、丁寧に仕事をこなす
お金の管理が大変
会社員は会社で給料計算や年末調整をしてくれますが、フリーランスは自分でお金の管理や確定申告を行う必要があります(赤字の場合は不要)。
行った仕事一つ一つの請求書を発行し、経費の計算・入出金の帳簿付けをする必要があり大変です。
・会計ソフトを導入する
・税理士さんにお願いする
私は「やよいの青色申告オンライン」を使用しています。
フリーランス1年目は、白色申告だったので、白色申告版(無料)を使用。
2年目からは、青色版に移行しましたが、1年間無料なので安心して試せました。
今まで会社に会計処理はお任せ状態だったので、まったくの無知でしたが、わかりやすい操作画面で、管理しやすいです。
日々の帳簿付けをしておけば、確定申告も自動で反映してくれるので、助かっています。
自分でスキルアップしていく必要がある
会社員では、先輩に仕事を教えてもらえますが、フリーランスは自分で学ぶ必要があります。
・本を読む
・YouTubeでインプットする
・セミナーや講座を受講する
筆者の体験談
フリーのライターとして活動していますが、ライタースクールなど、必要に応じて自己投資をしながらスキルアップをしています。
クライアントさんに価値提供できる幅が広がり、自分に必要な学びなので、学生時代よりも学びが楽しいです(^^)/
スケジュール管理が大変
フリーランスは、自分の働き方次第で収入を増やせます。しかし、仕事を増やすほどスケジュール管理が大変です。
体調不良の場合も、自分でカバーするしかないので、より強い責任感が求められます。
・日ごろから提出物の納期をしっかり守るなど信頼される行動を心がける
・スケジュール管理アプリを活用して、タスクの漏れを防ぐ
・余裕のあるスケジュールにする
管理栄養士が大変…「辞めたい」と思う5つの理由
業務が大変なあまり「辞めたい」と考えている管理栄養士もいるでしょう。以下のような理由から退職に踏み切る人が多いようです。
2.スキルアップが見込めない
3.人間関係のトラブル
4.仕事量に対して給料が安い
5.プライベートや家庭との両立が難しい
管理栄養士は大変だけどやりがいもある
管理栄養士は大変なので、「辞めたい」と考えている人も多いでしょう。
それでも、続けている人がいるのは、「やりがい」を感じているからでしょう。
おもに以下の場面でやりがいを感じるおもな場面を紹介します。
・患者さんのデータが改善された
・開発に関わった商品が店頭に並んだ
・自分の書いた記事が多くの人に見られた など
まとめ
管理栄養士は、専門性の高い職業ですが、専門性を軽視されている傾向があります。
そのため、いろいろな業務を任され、マルチタスクになり大変です。
専門性のある業務に注力できる環境が整えば、管理栄養士の存在意義が高まるのではないでしょうか。
今の職場で改善が難しい場合は、転職も視野にいれてみるとよいでしょう。
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